小児眼科

小児眼科について

当院では国家資格を持った視能訓練士が主に屈折異常、弱視の方の検査を担当し、お子様の発達やペースに合わせ検査をおこなっております。

乳幼児期のお子様の場合

乳幼児期のお子様の場合まだ意思の表示が難しい乳幼児の場合、自分の目がはっきり見えなくてもまわりにそれをうまく伝えることができません。したがって、お子様の普段の行動の中に何らかの兆しが現れていないか、保護者の方が気を付けてあげる必要があります。
目に何らかの異常がある乳幼児の場合、症状が以下のような行動として現れることがあります。

  • 目を細めるなど、ものが見えにくそうなそぶりを見せる
  • ものを横目で見たり、見る時に顔を傾ける
  • 目の前のものをつかみ損ねやすい

このような様子に気付いたり、それ以外にもお子様の目について気になることがあれば、お気軽に当院までご相談ください。お子様の年齢や月齢に適した検査を行って、必要に応じた治療を進めることで対応いたします。

幼児~小児期のお子様の場合

幼児~小児期のお子様の場合視力の発達においては幼児期から小児期が最も大切な時期で、この時期に鮮明な像を見る経験を積み重ねることが将来の正常な視力を得るためにとても重要なこととされています。ところが、この時期に近視・遠視・乱視といった屈折異常を放置して視力の発達が遅れると、メガネなどで矯正しても十分な視力を得ることができない「弱視」になってしまう場合があります。

当院ではお子様の視力の発達状況を検査によって的確に把握することが可能です。また、その結果に応じてお子様の性格や興味を考慮した視力発達のための訓練内容を立案し、それに沿って治療を進めることで対応いたします。

はやり目

はやり目はやり目はウイルス感染を原因とする結膜炎の一種で、正式には「流行性角結膜炎」といいます。

はやり目はアデノウイルスというウイルスが目の白目部分を覆う結膜に感染し、炎症を引き起こすことで発症します。このアデノウイルスは感染力が非常に強く、感染した目をこすった手やタオルなどを介して人から人へと次々に感染していきます。特に免疫力がまだ弱い小さな子どもの間で感染が広がりやすいことから、保護者の方にとっても注意が必要な病気です。

そのため、お子様がはやり目にかかったら、症状が落ち着くまで通園通学を控え、家族の間でも使うタオルを別にしたり、目を手で直接こするのは控えてティッシュペーパーで拭くようにするなどして、それ以上の感染拡大防止に努めましょう。また、夏場に多いプールでの感染拡大を防ぐため、プールにも入らないようにしましょう。

斜視

斜視物を見ようとする時に、片方が正しい方向を向いているのに、もう片方の眼が違う方向を向いてしまっている状態が斜視です。斜視には種類があります。

内斜視

  • 偽内斜視:寄り目に見えるだけで実際には斜視はなく様子見でよい
  • 調節性内斜視:遠視が原因で起こり、眼鏡による矯正を必要とする
  • 乳児内斜視:生後6か月以内にみられ、ズレが大きい場合には手術を必要とする

外斜視

斜視のなかで最も多いものが間欠性外斜視で、これは遠くを見たときやぼんやりしている時に眼が外側に外れる斜視です。経過観察で良いことが多いですが、両眼でものを見る機能が悪い場合や近くを見たときに眼が外に外れるようであれば手術が必要となることがあります。

弱視

子供の視力の発達には、感受性期があり、生まれたばかりの赤ちゃんは0.01くらいの視力しかありませんが、6歳くらいまでに通常視力は1.0以上となり視力は成熟します。この視力の感受性期に眼瞼下垂や斜視、強い屈折異常(遠視、乱視、近視)などにより、視力の発達が障害されると、弱視になることがあります。

弱視の治療は、点眼薬を用いて目のピント調節力を一時的に緩めた上で正確な度数を測定し、それに合わせてメガネを処方することから始まります。そのメガネを着用したまましばらく過ごしてみて、それでも十分な効果が得られなかった場合は、さらに視力の発達を促すための訓練が必要になることもあります。

色覚異常

色覚異常には先天性のものと後天性のものがあります。先天性のものは遺伝によるもので、日本人での頻度は男性の約5%、女性の0.2%で、1クラスに1人は色覚異常の子がいると考えられ、まれな病気ではありません。後天性のものは、遺伝性以外の原因で目や脳の病気などが原因となります。

先天性のものでは、赤と緑の区別がつきにくい先天赤緑色覚異常が多く、色の間違いやすさには個人差がありますが、弱視になることはなく、視力も正常です。検査としては図1のような石原表が広く用いられていますが、当院では色覚異常の程度判定にパネルD-15(図2)を用いて、生活上の支障や職業適性などを検査しています。

進学、就職に関しては、現在では色覚について問われることはほとんどなくなっていますが、自衛隊や警察官、消防士、航空、鉄道関係の職業では就労が制限されることがありますので、注意が必要です。運転免許は視力、視野に問題がなければ取得は可能です。

  • 図1:①色覚異常のない方
    色覚異常正常
  • 図1:②色覚異常の見え方
    色覚異常

 

図2:パネルD-15

近視進行抑制

近視進行抑制近年、世界的に近視の有病率は増加傾向にあり、2020年には世界人口の3分の1(26億人)、2050年には半数(48億人)が近視になると推測されています1)。日本でも学校健診で「視力が1.0未満」と判定(B,C,D判定)された子の割合は小学校で約1/3、中学生で約1/2、高校生で約2/3と年齢とともに増加しています2)。近視の進行の速さには、遺伝と環境の両方の因子が影響していると考えられます。遺伝的には両親とも近視の子は、両親とも近視でないに比べて、約6倍近視になりやすいと言われています。また環境的には1日2時間の外遊び(屋外活動)が近視進行を遅らせるうえで有効である3)と考えられています。
近視の進行を抑える方法としては、下記のような日常生活上の注意点のほか、低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー(ナイトレンズ)、サプリメントなどで一定の治療効果が報告されており、当院でも近視の子にはこれらを紹介しています。また、低矯正の眼鏡では近視が進行しやすいとされている4)ため、当院では矯正で1.0程度になるよう完全矯正での眼鏡装用をおすすめしています。

※三郷市眼科学校医として近視の啓発活動もおこなっています

※埼玉県医師会誌 834号 2019年 掲載 

日常生活上の注意点

  1. 1日にできれば2時間は外で遊ぶようにしましょう
    太陽光に含まれる短波長の可視光であるバイオレットライト(紫色光)が近視進行抑制遺伝子(Egr1)遺伝子の発現を活性化させ,近視進行抑制に効果があるとされています
  2. 学校の休み時間はできるだけ外で遊びましょう
    夏は帽子着用と水分補給は忘れずに、なお日陰でも一定の効果はあります
  3. 本から目は30cm以上離して読みましょう
    A4サイズのプリントの縦の長さが約30cmです。これくらいは離れるようにしましょう
  4. 読書は背筋を伸ばし、良い姿勢で読みましょう
    寝転がって本を読んだりすると,だんだん近くでものを見るようなるので、座って正しい姿勢で読むようにしましょう
  5. 読書,スマホ,ゲーム等は1時間したら、5〜10分は休みましょう
    携帯ゲーム機などはテレビ画面につなぐなどして離れてやりましょう。テレビ画面の縦の長さの3倍程度は離れると良いでしょう
  6. 規則正しい生活(早寝早起き)をこころがけましょう
  7. 定期的な眼科専門医の診察を受けましょう
    学校健診でB判定(視力0.9-0.7)以下の方は眼科を受診しましょう

※近視研究科ホームページより(一部改変)

低濃度アトロピン点眼(マイオピン)

昔から検査や治療に使われている散瞳薬であるアトロピンが近視の進行を抑制するとされていました。ただ、通常のアトロピン(1%)では点眼後に長期にわたり瞳孔(ひとみ)が拡がり, ぼやけて見えてしまい、日常生活にも支障がでるため、あまり実用的ではありませんでした。
しかし、通常のアトロピンを希釈した低濃度のアトロピンを使用したところ、「ぼやけ」を伴うことなく、近視の進行抑制があることが報告されました。この治療は近視のある子を対象に6歳ころからの開始がすすめられており、2年間使用を継続すると、未治療の子と比べて0.05%点眼で約65%、0.025%点眼で約45%、0.01%点眼で約28%と濃度依存性に近視の進行を抑制したとされています5)。ただ瞳孔径の変化が0.05%点眼で+1.25mm、0.025%点眼で+0.67mm、0.01%点眼で+0.60mmと0.05%点眼で瞳孔径がもっとも拡大したことから、当院では従来から使用されていた0.01%点眼よりも近視進行抑制効果があり、瞳孔への影響があまり変わらない0.025%点眼を採用しています。なお点眼薬は一日一回、就寝前に点眼し、治療効果をみるために3か月に1回程度は通院して頂きます。

ただ、すべての方に効果が保証されているものではありません。一定期間ご使用の上で効果がみられない場合には中止を指示することもあります。

マイオピンはアイレンズ・アットワーキング社を介して、医師の個人輸入にて入手しております。また保険適応外の自由診療のため、保険診療と同日で行うことができません。

1回の検査・診察代  5,000円(税込)
目薬代(1か月: 1本)

 3,800円(税込)/1本

10,000円(税込)/3本 

オルソケラトロジー

当院ではオルソケラトロジーも取り扱っております。オルソケラトロジーは就寝時に特殊なレンズを装着することで、眠っている間に角膜を矯正し、日中は裸眼で過ごすことが可能になる手術の必要としない視力矯正術で、近視の進行抑制率は36〜56%6) 7)とされています。さらにまだ短期的な報告ではあるが、低濃度アトロピン点眼と併用すると、さらに5割の抑制効果が上乗せされる8)とも報告されています。詳しくはオルソケラトロジーのページをご覧下さい。

サプリメント

サフランやたくあん、栗きんとんなどに含まれるクロセチンというカロテノイド(天然色素)がEgr1(近視進行抑制遺伝子)の活性化作用を持つことが明らかになり9)、当院では近視進行抑制サプリメントとして、以下を取り扱っております。ご興味のある方はお声掛けください。

参考文献

1)Chua SY, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 56:8101-7, 2015.
2)文部科学省『学校保健統計調査』(2016年度)
3)Jones LA, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 4: 3524-32, 2007.
4)Walline JJ, et al. Cochrane Database Syst Rev 12: CD004916, 2011.
5)Jason CY, et al. Ophthalmology 127: 910-9, 2020.
6)Kakita T, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 52: 2170-4, 2011.
7)Charm J, et al. Optom Vis Sci 90: 530-9, 2013.
8)Walline JJ, et al.Br J Ophthalmol 93: 1181-5, 2009.
9)Mori K et al. Sci Rep 9:295, 2019.

近視遺伝子チェック

遺伝子検査で遺伝的な近視の発症リスクを知ることは早めの眼科受診の必要性や生活習慣の改善などを知るきっかけとなります。「近視遺伝子チェック」では、近視に関わる様々な遺伝子を解析して遺伝的に近視になるリスクを5段階評価でお知らせします。

費用

費用 14,000円(税別、相談料含む)

流れ

1)検査をご希望の際にはお電話にてご予約の上、ご来院下さい。

2)ご来院頂いた際に検査キットをお渡しします。

3)自宅で検査を行い、検体を横浜近視予防研究所に送付します。
*当院で検査を行うものではありません。

4)結果は約1か月後にご自宅に郵送されます。任意ではありますが眼科による相談をご希望の際はお電話にてご予約をお願いします。

5)眼科医によるご相談は月、木、金曜午後診療後18:30、また土曜診療後13:00とさせて頂きますのでご了承下さい。

横浜近視予防研究所ホームページ

https://kinshi.jp/

Tel.048-954-8938 24時間web予約
ブログ求人情報